第十一章ノ三:必ず先ずその守将、左右、謁者、門者、舍人の姓名を知り、吾が間をして必ずこれを索知せしむ。
スパイから得るべき情報とはどのようなものであろうか。
であげた五事、
第十一章ノ一:明君賢将の動きて人に勝ち、成功、衆に出づる所以のものは、先知なり。
であげた勝利の五つの条件に役立つものだ。
およそ軍を撃たんと欲する所、城の攻めんと欲する所、人の殺さんと欲する所は、
軍を撃とうとする時、城を攻めようとする時、人物を殺そうとする時は、
必ず先ずその守将、左右、謁者(えっしゃ)、門者、舍人の姓名を知り、吾が間をして必ずこれを索知せしむ。
先ず、守備隊の指揮官、側近、門番、従者の姓名を調べて、スパイに更に詳しく調べさせる。
まずは、敵に守備の担当者を調べることである。
とはいえ、戦争中になかなか上層部に食い込めるものではない。
下からでも分かるような、内情を調べることも有効だ。
数(しばしば)賞するは苦しむなり。
将軍がやたら賞金を出すのは、運営がうまく行っていない証拠である。
数罰するは、困(くる)しむなり。
しきりに罰するのも同様だ。
先に暴にして後にその衆を畏るるは、不精(ふせい)の至なり。
部下に厳しく当たり散らしておいて、後で謀反、離反を恐れるのはバカの極みだ。
内部で部下が驚くような極端なことをして、それが外部に漏れ出てしまっている組織は、昨今のニュースでもよく見る例だ。
他にも外部から分かる範囲で敵の状況を知ろうということも書かれているが、国家間や特大企業ならともかく、一般企業間では専属のスパイを送り込むということまではしていないのではないかと思う。
それでも情報がリークしたりするのは、一時限りの約束で情報を外部に売ったりする者はそれなりの規模であれば存在するのだろう。
企業の極秘情報が社会に漏れたら、その情報価値そのものよりも、内部を混乱させる効果のほうが高いのかもしれない。
前半はこれで終わりです。
ここまでで、守屋先生の著書「最強の戦略教科書 孫子」の前半を「超概要」と呼ぶ形でざっと進めました。 かなりいろいろ端折っていますが、ざっくりとは理解できたと思います。より深く、詳細に渡る内容は↓の著書を御覧ください。
参考図書
この本で勉強させていただいています。興味のある方はこちらをどうぞ。
次回予告
さて、次はいよいよ、「超軟訳」孫子が始まります。
全部見ておきたい、でも難しいのはいや
この2つの欲求を満たす、世界のどこにもない、超絶わかりやすい翻訳です。
お楽しみに!