マジわかるんですけど孫子

「超軟訳」マジわかるんですけど孫子

超絶簡単な言葉だけで説明された、読むだけで孫子が頭にすいすい入ってくるブログです。

第十一章ノ二:反間とは、その敵の間に因りてこれを用うるなり。

間とは間者、スパイのことである。

勝つために「間」を使って情報を集める。

情報の重要性を理解し、喉から手がでるほど欲していれば、スパイを使うという結論にたどり着くのは自然だ。

一、郷間(きょうかん)とは、その郷人に因りてこれを用うるなり。
郷間とは、敵国の領民を使うもの。

二、内間とは、その官人に因りてこれを用うるなり。
内間とは、敵国の役人を使うもの。

三、反間とは、その敵の間に因りてこれを用うるなり。
反間とは、敵国のスパイを使うもの。

四、死間とは、キョウ事を外になし、吾が間をしてこれを知らしめて、敵に伝うるの間なり。
死間とは、自国のスパイを敵に偽の情報を敵に広めるもの。

五、生間とは、反(かえ)り報ずるなり。 
生間とは、敵国から情報を持ち帰るもの。

敵国の人間を自国の人間として買収する。

敵が自国に送り込んだスパイをとらえて買収し自国のスパイとする。

自国のスパイを敵国に送り込んで嘘の情報を流す。

自国のスパイを敵国に送り込み、情報を持ち帰る。

私個人のイメージでは、生間がもっともポピュラーなのかと思えば、最後に出てきた。

敵を買収するのが最もポピュラーな方法なのだろう。

現代でも私の知らないところで、国家間でもスパイによる諜報戦争は行われているのは想像に難くない。

この順番が撃つべき手の優先、もしくは難易度が低い順であれば、こちらから敵の内部に侵入するよりも敵の内部の者を利用していくことを考えるのが先決だということだ。

四の死間は、敵の内部で偽の情報を広めるものだが、これはかなりリスクがある。情報発信者は耳目を集めるので、必死という意味で死間と呼ぶのだろう。

現代ではインターネットがあるので、部分的にローリスクでできてしまう部分もあるのだろう。

反間、敵のスパイをとらえて自国のスパイ、即ち二重スパイにするのは、どうやるのだろうか。相手が三重スパイにならない保証はどこにあるのだろうか?

これを知るは必ず反間にあり。故に反間は厚くせざるべからず。
最も重要なのは反間(二重スパイ)である。だから待遇を手厚くしなければいけない。

相手がもらっている、約束されている報酬以上の待遇にすることで二重スパイを成立させる。

そもそもスパイをするような者の動機は大義か金だ。大義だった場合は金品ではなびかないだろうが、金だった場合はこちらが多く出せば良い。

大義を動機とするようなスパイはおそらく少数派だろう。

しかしスパイからの情報は漏洩や真贋の問題で、もはや信用するに値するかどうかという非常に重要な問題にぶち当たる。

間事いまだ発せずして先ず聞こゆれば、間と告ぐる所の者とは、皆死す。
スパイが情報を漏らした場合、スパイも情報を受けたものも殺してしまう。

スパイをする者は命がけだ。

三軍の事、間より親しきはなく、賞は間より厚きはなく、事は間より密なるはなし。
スパイは最も信頼できる者を選び、報酬は最も高くあるべきで、行動は極秘である。

目論見通りにことが運べば非常に好ましいが、このように使う側のハードルが高い、ハイリスク・ハイリターンなスパイは、使う側にも心得があるべきだ。

聖智にあらざれば間を用うること能わず、仁義にあらざれば間を使うこと能わず。
並外れた知恵と人格がないとスパイを十分に使いこなすことはできない。

微妙にあらざれば間の実を得ること能わず。
きめ細やかな配慮を行わなければ実益を得ることはできない。

微なるかな微なるかな。 間を用いざる所なし。
なんと微妙なことか。スパイを使わないなんて選択肢はないのだ。

スパイはスパイ自身が優秀なだけではない。使う側もそれ以上に優秀でないと使いこなせないのだ。

次回予告

いよいよ次回が最後になる。

闇雲に情報収集しても効率が悪くリスクが上がる。

スパイの情報によってどういう情報を得、戦争に役立てるのか。

次回はそれを学ぶ。

chiwahi2.hatenablog.com

お楽しみに!

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