第八章:郷導を用いざる者は、地の利を得ること能わず。
戦いは敵国領内と自国領内で行うのはどちらが有利か。
敵を自国に引き入れるリスクはあろうが、地の利を活かせるのは自国領内での戦いだ。
孫子曰く、地形には通なる者有り、挂(かい)なる者有り、支なる者有り、アイなる者あり、険なる者有り、遠なる者有り。
地形には「通」「挂」「支」「アイ」「険」「遠」の6つの概念がある。
我以って往くべく、彼以って来たるべきを通と曰う。
「通」とは、敵、味方ともに移動できる地形を指す。
通なる形には、先ず高揚に居り、糧道を利して以って戦わば、即ち利あり。
通の地形では南の高地を取り、補給路を確保すれば有利に戦える。
以って往くべく、以って帰り難きを挂と曰う。
「挂」とは、進むときは問題ないが、引くのが困難な地形を指す。
挂なる形には、敵に備えなければ出でてこれに勝ち、敵もし備えあれば出でて勝たず、以って返り難くして、不利なり。
挂の地形では、敵が守りを硬めていないときに出撃すれば勝つが、守りを硬めているときに出撃すれば勝てないし、撤退しにくい。
原文にはこのあと残り四つに関しても記述があるが、守屋先生の本では触れていない。
山林、険阻、沮沢(そたく)の形を知らざる者は、軍を行(や)ることを能わず。
山林、険しい所、沼沢を知らなければ進軍できない。
郷導を用いざる者は、地の利を得ること能わず。
その土地に詳しい案内がいなければ、地の利を得ることはできない。
こういう考えは、自国領内であればとても有利だ。
兵力の差
兵力差によって戦い方は変えるべきだ。
兵を持ちうるの法、
戦いの仕方は、こちらが敵の
十なれば、即ちこれを囲み、
十倍なら包囲し、
五なれば、即ちこれを攻め、
五倍なら攻撃し、
倍すれば即ちこれを分かち、
二倍なら分断し、
敵すれば即ちよくこれと戦い、
互角ならうまく戦い、
少なければ即ちこれを逃れ、
少なければ退却し、
苦からざれば即ちこれを避く。
称賛がなければ戦わない。
企業間でもこのように規模による戦い方は参考になるだろう。
五倍、十倍というのはイメージで具体的な数字ではなく、十倍=お話にならないレベル、五倍=赤子の手をひねるレベル、二倍=勝ちはほぼ確実だろう・・・といったような感覚的な判断と考えてよいだろう。
互角のときにうまく闘う、というのは当然真正面からのぶつかり合いではない。これまで学んだようにうアク立ち回るのだ。
ここから学べるのは、よほど余裕で勝てるときにのみ攻め入るということだ。
次回予告
次回はかなり抽象化しないと現代の戦いや生き方には応用できない内容となる。
戦国時代の国力(武力)は何で決まっていたのか。
次回はそれを学ぶ。
お楽しみに!
参考図書
この本で勉強させていただいています。興味のある方はこちらをどうぞ。